はじまりのつどい「豊かなくらしってなんだろう」

その4
豊かさについて~渡邊智恵子

「豊かさ」とはどんなことですか?
有村

では、この会のテーマである“豊かさ”についてお話しを聞いていきたいとおもいます。

まずは渡邊さんから。事前に「豊かさを測る物差しはにか?」「豊かさとはどんなことか?」という質問を投げかけており、3つの答えをいただいておりますので、それらをひとつずつお話しいただこうとおもいます。

ゆっくり時間をかけること

ー「ゆっくり時間をかけること」

渡邊

「豊かな暮らしってどうなんですか?」という質問は、以前も質問されていたのです。

Think the Earthという一般社団法人の方から「渡邊さんにとっての豊かな暮らしって何ですか?」と聞かれたことがありました。わたしには娘がおります。例えば、穴の空いた靴下を繕ってあげるとか、スカートにアイロンをかけてあげるとか。それから、すごく時間をかけながらお弁当を作ってあげるとか、他愛もないことなの。

スープを取るときも、普通なら買ってきたブイヨンをポィッと入れれば、スープは簡単にできるのだけれど、きちんとすじ肉から取っていくとか…。そういった毎日の暮らし中に“ゆったりとした時間が流れること”が豊かだと感じるのだと。

有村

これは今のアバンティの事業にも反映されているようにおもいます。コットン栽培もそうですよね。

綿栽培の畑
渡邊

そうですね、コットンもそう。コットンは、霜が降りて枯れてから収穫をするのが自然なかたちなのですが、「時間がかかるから」という理由で、枯れ葉剤を蒔いているわけです。自然の流れではなく、人間が都合よくコントロールするために。未熟であろうとなんであろうと収穫していくというのが、一般的なコットン栽培なのです。

枯れ葉剤によって環境が汚染されるけども、人間にとっては「早く・大量に」つくることが最優先という考えです。有機栽培の場合は、2~3カ月ほど枯れるまで畑で待つわけです。雹が降ってきたり雪になったりと天候によってはせっかくできたコットンボールが落ちてしまう。そうすると収量が少なくなってしまう。そんなリスクを背負うことになります。

それでも、“時間をかけながら”環境に対してダメージを与えない方法を取る。それが、わたしたちが取り組んでいるオーガニックコットンづくりなのです。

しごとや希望や夢を生み出す喜動(きどう)

ー「喜働」(きどう)~仕事が希望や夢を生み出す

渡邊

働くこと、喜んで働くこと。これが幸せに繋がっているということです。

わたしは倫理を学んでおりますが、その中に「喜働愛和」という言葉があります。いやいや働くことではなくて、喜んで働くことということが、幸せに繋がるという考えです。

わたしたちが行っている東北での仕事づくりは、「働くことが喜びであり、幸せに繋がっていく」という考え方がベースにあります。

代受苦者(だいじゅくしゃ)

ー「代受苦者」(だいじゅくしゃ)

渡邊

代受苦者。これは仏教用語で、「本来ならばわたしたちが受けなければいけない苦しみや悲しみを、わたしたちの代わりに受けてくれた人たち」を表します。

東日本大震災で、東北の人たちはまさしくこの代受苦者(だいじゅくしゃ)ではないのかと思っております。ですから、わたしは彼らと共に最終的に東北が復興するまできっちりと対峙していこうと思っています。

今、わたしは62歳なのですけれども、これからきっと10年、20年とかかるかもしれません。82歳になるまで、とにかく彼らと共に仕事をつくりながら、一緒に東北の復興を目指していきたいなと。決心ですね、覚悟かな。そんな覚悟をさせてくれた、仏教の言葉です。

渡邊

そうですね。budoriさんにはデザイン、動画やサイト制作など、しっかりと作って発信していただいた。

あれから3年、4年と経ちましたが、現在もずっとわたしたちは使わせていただいております。

東北グランマのクリスマスオーナメントは、2011年には25,000セットを製作しました。上代価格1,000円でしたから、総売上は25,000,000円ほど。それはとにもかくにも、budoriのスタッフや、かかわったみんなががんばってくれた結果です。

有村

ありがとうございます。では、次に小松さんにお話しを伺います。

小松さん福島コットン
小松

はい。先にすすむ前に、東北での支援活動つながりのお話をひとつ。

我々は今、福島県のいわき市で活動をしておりますが、地元のNPO法人ピープルを中心としたオーガニックコットンのプロジェクトがあります。「コットンベイブ」という福島いわきで生まれたオーガニックコットンの綿と種でできた人形をつくっており、ものづくりを通じて、新しい仕事や仲間の輪を広げていくという取り組みです。

オーガニックコットンのTシャツなども、オンラインショップで販売しています。それらの製品づくりや販売は、アバンティさんと協力して取り組んでいます。これは今すごく大きな活動になっていて、ビジネスモデルとしても注目されています。

畑作業を手伝うために、全国各地から沢山のボランティアの方々がいらっしゃっていますね。

渡邊

昨年は4,500人でした。

小松

すごいですね。我々もそばで見ていて、ものすごく人を惹きつけるプロジェクトになっているなということを実感しています。

10th anniversary
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