はじまりのつどい「豊かなくらしってなんだろう」

その5
豊かさに関する指数~小松豊明

豊かさに関する指標

ー4つの豊かさに関する指数

豊かさに関する指標1

[GDP(国内総生産)]

小松

今回「豊かさ」について考えるにあたり、改めて「我々の暮らしが豊かかどうか」を表すのに、どのような指標があるのかを確認してみました。代表的なものをいくつか皆さんと共有したいとおもいます。

まず、経済指標としてGDP(国内総生産)があります。これは、日本国内の生産率、サービスの総量ということですが、日本は1人当たりのGDPが46,530USドルで世界16位。合計額でいうと、世界3位。かつて1位の時期もありましたけれども、今はアメリカ、中国に次いで日本です。ちなみに我々が活動しているバングラデシュは795USドル、ネパールは690USドルとなっています。

数字だけを比べますと大きな開きがありますが、数字の開きがそのまま豊かさの開きになるかというと、そういうわけでありません。

例えば、畑があったり田んぼを持っていたり、そういう家庭が非常に多い。そうすると、田植えや収穫の時期は、みんな仕事を休んで実家に帰り田植えや稲刈りし、収穫されたものを食べる。そういった現金以外の収入がたくさんあります。

それから、物々交換といいますか、現金ではないものの交換や移動があります。日本では物々交換というのがほとんどなく、食べものや生活に使うものは、とにかく買わなくてはなりませんね。そういった違いが存在します。

豊かさに関する指標2

[人間開発指標]

小松

次に、経済指標だけでは人々の暮らしはわからないということで、UNDP(国連開発計画)が毎年出している人間開発指標というものがあります。

基準となるのは、「平均余命、平均寿命」それから「学校教育を何年受けられているのか」、先ほどのGDPと近い数字となりますが「国民総所得」といわれるものの3つです。これらの領域の数字を合わせて「人間開発指標」が算出されています。

人間開発指標で見ると、日本は2012年が10位、2013年は17位と、順位が落ちています。その他の国がかなり順位を上げてきているため、相対的に日本の順位が下がっていると、大きなニュースにもなっていました。

GDPだけを見ると日本はまだまだ上位にいますが、ほかのポイントを含めると、少しずつ下がっているということになります。

豊かさに関する指標3

[ジニ係数]

小松

ジニ係数とは経済的な格差を表す指標。数字がゼロに近いほど格差が小さいというものです。日本は平均よりも数字が大きくなっている。つ まり、先進国間で見ると、平均よりも格差が大きいという結果です。

豊かさに関する指標4

[貧困率]

小松

それから貧困率です。日本は相対的貧困率でいうと30カ国中27位。アメリカに次いで悪いということです。

貧困率が非常に高いという結果になっています。子どもの貧困率も最近出されていますが、これも19位と、非常に悪いという結果が出ています。

豊かさに関する指標5
小松

これまでは、とにかく経済の発展を第一に考えて進んできたわけですけれど、最近になってそれだけで「豊かさ」を測ることはできないのではないかと、考えが変わってきたようにおもいます。

では、どういうカタチで豊かさを計ればいいのかということで、国民生活指標といったものが開発されています。「住む」「費やす」「働く」「育てる」「癒やす」「学ぶ」「遊ぶ」「交わる」といった8つの活動領域が豊かさの構成要素という考えです。

先ほど、渡邊さんのお話の中でも、仕事という話が出てきましたけれども、この「働く」ということがひとつの要素に入っているのです。

豊かさに関する指標6
小松

日本人の意識が実際どうなのでしょうか。例えば、朝日新聞の世論調査を見ると、日本は豊かだと考える人は、この十数年の間で35%から56%に増えています。

一方、自分の暮らしはどうかというと、豊かではないと答える人が同じように38%から62%に増えている。つまり日本全体としては、豊かになった。でも、自身の生活を見ると、あまり豊かではないなと感じている人が多い。

つまり、社会全体の状況は良くなっているけれども、個人としての豊かさは実感できていないという状況がここで浮かび上がってきています。

国民生活選好度調査というのも行われていますけども、これを見ても、生活に満足しているという人の数がだんだん減ってきているのです。

1978年には、56%。1984年には64%と少し増えていますけれども、1999年にはまた44%まで減っている。他の調査結果と同じように、自分自身の生活に満足してる人がだんだん減ってきているということになります。

豊かさに関する指標7
小松

世界的にも「豊かさ」ということを、どうやって測ればいいのかということで、フランスのサルコジ大統領の呼びかけで、スティグリッツやアマティアセンといった、ノーベル経済学賞を受けた人たちをメンバーとした豊かさを測る指標を作るための委員会を作ったのです。

その中で、豊かさの構成要素は8つ提案されています。ひとつは「物質的な生活水準」所得や消費の金額的なことですよね。それから「健康」「教育」それからこれもやはり先ほど出てきた「仕事」ですね。

そして「政治的な参加、あるいは統治、ガバナンス」それから「社会的な結びつきや関係性」。「環境」、 最後は「経済的な不安や物理的な危険から守られる」というようなことです。

さて皆さんはどうですか?

豊かさに関する指標8
小松

ここには、8つの要素がありますけれども、皆さんが自分自身の暮らしを豊かであるかを考えたときに、あてはめることができるでしょうか。

もしかしたら「いや、自分はこうだな」と、違う物差しがあるかもしれない。そんなことを、皆さんにも考えていただきたいと思います。

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