その6
豊かさについて~小松豊明、
ゲスト・バングラデシュ大使館ジーバン氏
- 有村
では、小松さんご自身が考える豊かさとは、どのようなものでしょうか?
ー「つながり・絆」
- 小松
それはつながり、絆。これは、震災のあとに絆という言葉がよく使われますね。地域、あるいは家族との繋がり、絆。これが、大事ではないかと思っています。逆に言うと、これがない暮らし、社会というのは、豊かではないと思うのです。
日本はざまざまな制度、とくに福祉の制度があり、いわゆるセーフティネットと呼ばれるものが非常に充実している。ところが最近、よくNHKなどが無縁社会という言葉を使っています。家族のつながり、あるいは親戚同士、地域のつながりがどんどん薄くなってきている。そのため、ひとたび何か問題があったとき、職を失うとか、家族を失うという大変な状況になったとき、救うことができない。社会全体として、問題に陥った人たちを救えないという状況がどんどん広まってきている。
それは何かというと、地域や家族の繋がりが希薄になってきているからだろうと思います。
我々が活動しているバングラデシュ、ネパールではこういった絆や繋がりがまだまだ強く残っていて、すごくうらやましいなと思うことがあります。何か問題があっても、家族、親戚、あるいは地域の人たちが助けてくれるということがよくあります。
洪水で家が流された。すべて失なってしまった。そうすると、遠くから必ず親戚が駆けつけて助けてくれたり、地域の人たちがお米などを持ち寄って助けてくれると。
- 有村
昔の日本のようですね。ではここで、バングラデシュ大使館のジーバンさんにもお話しを伺いたいとおもいます。
- 小松
ジーバンさんはバングラデシュ大使館の公使という立場で、長く日本におられます。この会のことを知り、ぜひ参加したいと。
「通訳を付けることができませんがいいですか?」と伺ったところ、とにかくこの会に参加したいとおっしゃって、今日ここに来ていただきました。
せっかくなので、バングラデシュの人々について、お話しいただきたいとおもいます。
- ジーバン
こんにちは皆さん。
- 一同
こんにちは。
- ジーバン
バングラデシュでは、貧困が一番大きな問題です。貧困というのは2つの側面から捉えることができます。
1つ目は、経済的側面。つまり、お金の話です。2つ目は、人間的側面。満足な教育が受けられるかといったところです。
過去25年ぐらいを見ますと、だいたいバングラデシュのエコノミーというのは、上昇傾向にあるのですけれども、まだ、国としては発展途上国と言われています。その中で教育というのはすごく重要で、インターナルな人間自身の強さということを引き出すことができたり、教育を受けたことによって、その他の人にも影響を与えることができます。教育はとても重要な位置を占めます。
バングラデシュでは、公共サービスとしての健康や教育というのは十分に提供されていません。仮にバングラデシュの国民が十分に教育を受けていたのであれば、国や行政に対して「それはおかしいんじゃないか」と言えるはずです。
やはり教育。教育ができることによって、いろいろ効果が広がってきて、いろいろなものが良くなっていけると思っています。
- 小松
ジーバンさん、サンキューベリーマッチ。
- 有村
ありがとうございます。「教育」というキーワード。先日ノーベル賞を受賞したマララさんのことが頭に浮かびました。
やはり学ぶことができるというのは、とても幸福なことなのですね。