『こどもにつたえるフェアトレード2013』 staff talk地球の裏側を考えること

ひとつの世界観にまとまったイベント

下道:今回の『こどもにつたえるフェアトレード2013』では、
budoriとして、はじめて絵本も制作、販売することができました。
この絵本『とりがおしえてくれたこと』ができた発端は何だったのですか?

田中:発端は、有村からの提案として「絵本や童話」という話があったんですね。
たしかに、「子どもにつたえる」方法として、なにがあるだろうか。
とか考えたときに、ストレートな答えとして、
絵本は良い方法だな。と、思いました。

下道:有村は、以前から絵本や童話が作りたいって、言っていましたもんね。
有村も、それを田中さんに叶えてほしかったんじゃないかなあって思います。

田中:でも、「つくる」ぞ。と、決めるのは簡単だけど、
では、いったい、だれが話を考えるのか。
だれが絵を描くのか…と。

下道:最初はふたりで進めるつもりで、
ストーリーづくりを私がやろうとしていましたが、
有村が、これはbudori全体でつくるべきだ、って言ったとき、
「あ、確かに」って思いましたね。
田中さんは、みんなでつくるってなったとき、どう思われました?

田中:budoriらしい取り組み方だな、と思いました。

全員が当事者意識を持って問題に取り組むということが、
budoriらしさだと思います。
これを、たまたま、担当だから、という消極的な理由で、
私と下道さんのふたりで進めてしまったら、
budoriのスタッフ間であっても、フェアトレードという活動に対する
意識に差が出てしまったかもしれないですね。

でも、スタッフみんなが、それぞれの方法で
「フェアトレードを伝える方法」と向き合うというのは、
非常に大きな意味を持つことだったと思っています。

下道:そうですね。このフェアトレードという言葉は、
budoriとして取り組まなければならない問題なわけなので、
スタッフ全員でこの絵本づくりに携われて良かったと思います。
それを上手く田中さんがまとめてくれて…。
かたちにするうえで、大変だったところってありますか?

田中:まず、なにより時間的なことですね。1ヵ月なかったでしょう。
たしか、実制作期間は2〜3週間だったんじゃないかな。

下道:すごく急ピッチで進めてくれましたよね。
なのに、あのクオリティの高さ。さすがです。

オンデマンド印刷による簡易製本『とりがおしえてくれたこと』

田中:ありがとうございます。
しかし、内容のクオリティとしては、監修していただいた、
認定NPO法人ACEさんの存在が大きいところがあります。

下道:今回、こどもに親近感のあるチョコレートや
コットンを題材にした関係もあって、
シャプラニールさんから、児童労働の問題に取り組まれているACEさんを
監修者としてご紹介くださったんですね。
偶然なんですけど、ことしの2月のバレンタイン直前に、
KINOへやで開いた映画の上映会が、
ACEさんの『バレンタイン一揆』でした。

田中:そうでした。

下道:偶然が重なりつつ、ACEさんも快く監修をお受けくださいました。
また、お子様も実際にやってくださった、フェアトレード・ワークシートも、
ACEさん監修のもと制作されましたね。
あれは夏休みの自由研究の素材にもなりそうで、良かったと思います。

親子で考えるフェアトレード・ワークシート

田中:このワークシート、当初は小学生を対象には考えてみたものの、
やっぱりちゃんとつくろうとすると小学生対象としては
難易度の高いものになってしまいました。

単純に、問題文ひとつとってもね。どんな言い方をすればいいのか。
常用漢字で、小学4年生までに習う漢字だけにすればいいのか。とか。
学年別の漢字とか、そういう機械的な処理はアプリ側でどうにでもなるけど、
表現としては、限界があるんですね。
ひらがなだけでは伝わらないし。最終的には、割り切って、
すべてにルビをふるという方法を取りましたけど。

ただ、「こどもにつたえる」という言葉って、つまり、
こども向けでもあると同時に、大人向けでもあるんですね。
「おとなが、こどもにつたえる」という解釈になりますから。
それなら、親子でチャレンジしてもらって、
そうしたなかで、新しい対話の時間とか生まれたらいいなと…。

下道:そのほかにも、今回のイベントのフライヤーはなんと表紙が5種類。
シャプラニールさんも驚いてましたね。
これは制作の段階で考えていたことだったのですか?

オンデマンド印刷だからこそ実現できる5種類の内三つ折りフライヤー

田中:これは、印刷する直前で思いつきました。

今回は、結果的にbudoriが持つオンデマンド印刷機を
フル活用することになったわけですけど、
せっかくのオンデマンド印刷なのだから、
印刷所でのオフセットではできないようなことをしようと。

たとえば、フライヤーの大きさは、A4の3つ折りサイズでしたが、
オンデマンド印刷機で、両面印刷から3つ折りまで、すべて加工が完了できます。
budoriでは、ことしの7月から『月刊budori』という
オウンドメディアを毎月、発行しているのですが、
このなかで、本格的なバリアブル印刷(データ可変印刷)を採用しています。
この手法を使えば、簡単にバリエーションが増やせるなと、思いついたんです。

印刷所での印刷は、大量に印刷して、大量に利用するときは便利です。
しかし、バリエーションを増やすことには向いていません。
オンデマンド印刷は小ロット印刷に適しているので、
気軽に実験的なことができるのもいいですね。

絵本も、名入れ印刷をしたりとか、
おとこのこ版とおんなのこ版の2種類を作ったとか。

budoriのオウンドメディアとして発行中の月刊budori

下道:さすがオンデマンド…。
いろいろな種類の表紙に驚かれているお客様も多かったです。
それから、会場となったKINOへやに設置したバナースタンドやPOPも、
今回のイベントの雰囲気を作り出してくれてとても良かったです。

田中:やっぱり、最初に「絵本」をつくるところからスタートした、
というのが大きなポイントでした。
メインビジュアルを何種類かつくる、
くらいなら、よくある仕事だと思うんですけど、
今回は、いきなり32ページの絵本をつくるところからスタートしました。
それを進めていった結果、
自然と、ひとつの世界観ができはじめたんですね。

そうなると、こんどは、KINOへやを、
すこしでも絵本の世界に近づけたいなと思いました。
その点、KINOへやは、壁も床も天然木で囲まれているし、
チョークを使うような昔ながらの黒板もあって、
絵本の世界を表現するのに向いている空間ですね。

黒板にチョークで描かれた絵本のキャラクターたち

下道:今回のイベントは、ひとつの世界観が
出来上がっていてとても良かったと思います。

田中:イベント会期中に販売した絵本は、オンデマンド版でしたが、
イベント終了後に、Kindle版も展開します。
Kindle版は、おとこのこ版、おんなのこ版というのはないのですが、
そのかわり、縦書き・右綴じの日本語版と、
横書き・左綴じの英語版があるので、見比べてみてほしいですね。
ちなみに、こういうふうに、ひとつの世界を2種類にわけて表現するっていうのは、
『ゼルダの伝説』へのオマージュです。

Kindle版は英語版と日本語版を発売

3.地球の裏側を考えるきっかけ

もくじ

  1. 1きっかけは『全国キャラバン2013』
  2. 2ひとつの世界観にまとまったイベント
  3. 3地球の裏側を考えるきっかけ

10th anniversary
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