『こどもにつたえるフェアトレード2013』 staff talk地球の裏側を考えること

地球の裏側を考えるきっかけ

田中:約40日間という長期間の展示・販売でしたが、
その途中で、ワークショップや映画の上映会、
そしてトークイベント『フェアトレードのしくみ』などを開きました。

今回のイベントのきっかけが、
菅原さんからの「なにかお礼をしたい」というところからなので、
「またトークイベントを…」ということは考えていましたが…。

下道:それ以外はほとんど決まっていませんでしたね。

田中:じつは私は、今回のイベント以前までは、
フェアトレードについては、なにか、
漠然としたイメージだけしか持っていませんでした。

ただ、いろいろ考えていくなかで、わかったのは、
フェアトレードっていうのは、やっぱり手段であって、
目的ではないんだなということです。
フェアトレードは、とにかく社会的に良いことなんだから、広めましょうみたいな、
そういうシンプルな話ではなかったんですね。

でも、こどもたちに、シンプルに伝えたい。
どんな話がいいんだろう?って思ったときに、
やっぱり菅原さんの体験談がいちばん伝わるのかなと、行き着いたんですね。

下道:そう。菅原さんは、実際に2年程、
バングラデシュに駐在されていた経験があります。
その経験から、やはり現地のことを話してもらおうということになったんですよね。
実体験をした人から聞くお話は、リアルでおもしろい!っていう感じで。

バングラデシュでの体験を話すシャプラニールの菅原伸忠さん

田中:やっぱり異文化の話を聴くっていうのは、
ただそれだけでおもしろいものです。
たとえば、食事の話で、バングラデシュでは、
「なにが食べたい?」という質問には、
具材を答えるっていう話とかね。

下道:魚とか、鶏肉とか…(笑)。
話の前提が「カレー」だから、具材を言えば、それで料理が出てくるっていう。
ほかにも、普段は聞けないような裏話が聞けて、
お客様も愉しんでいたし、良いトークコーナーになりました。
菅原さんの話し方も上手くて、引き込まれました。

田中:一見すると、バングラデシュの現地のお話をきくことと、
フェアトレードの話は、つながりがないように思えるかもしれないし、
そういう意見もありました。

ですが、フェアトレード製品をつくっている国のこと。
その土地のひとたちの暮らしぶりなどを聴くというのは、
意味があることだと思うんですね。
なぜ、そういう生活をしているのか。
どうしてフェアトレードが必要になってくるのか。
そういうバックグラウンドを想像するきっかけとしてね。

下道:そういう意味で、本当のフェアトレード入門だった気がします。

田中:知っているようで…、ほんとに知らないんですよね。

下道:そうですね。私もバングラデシュの生活とか
人柄まで知らなかったので、現地のお話をメインにしてもらう、
という方向に変えて、良かったと思います。
バングラデシュの人たちのことがわかるといえば、
トークイベントとは別に、シャプラニールさんにご協力いただいて、
バングラデシュの縫製工場の女の子たちなどにスポットあてた
ドキュメンタリー映画『ガーメントガールズ』の上映会も行いましたね。

田中:あの映画を観たり、菅原さんのトークを聴くことで、
バングラデシュが身近なものに感じましたね。

下道:あの映画の冒頭で、翻訳されていない字幕が流れるんですが、
今回、その字幕の日本語訳を付けたガイドも作りましたね。

田中:あれも、けっこう土壇場で思いついたんですけど。
バングラデシュって、国の名前は知名度があるけれど、
はたして、どこにあるのか。
どんな国なのか…。というと、意外と知られていません。
日本語字幕付きの映画の上映会だったので
対象年齢を「中学生以上」としたものの、
もうすこし、なにかできることはないかな…?ということから、
冒頭の解説文の翻訳と、
そして、映画に登場する地名や企業名、
その他、気になる単語の簡単な解説をつくりました。

下道:あの解説は、後で読みながら内容を思い出せるし、
意味のある物だったと思います。

映画『ガーメントガールズ』の解説冊子を制作

田中:トークイベントに話を戻すけど、
参加いただいたかたのアンケート結果では、
ロールプレイングがわかりやすかった、という声もありました。

下道:あれは社内でも好評でしたよね。ナイスアイデアです、田中さん。

田中:ロールプレイングは、ワークショップなどでは、
よくある手法だと思うのですが、
今回は、チョコレートを例にとって、
それがどんなひとの手をわたって、どんな感じでお金が動いているのか、
というのをイメージ的にとらえてもらうことが目的で、
専用のカードなどを作りました。

わかりやすかったとご意見をいただいたロールプレイング

ふつうの子どもたちや、あるいは会社勤めをしている大人たちは、
消費者という立場なんですね。
でも、ふだん、着ているシャツだとか、
食べているチョコレートだとかが、
じつは、地球の裏側でつくられているかもしれない…とか。
近所のコンビニで、そんなことを考えながら、
レジに持っていったりしないでしょう。

下道:そこまでしないです。『おいしそ〜買おっ。』ぐらい…。

田中:自分自身、毎日、そういうことを考えながら生きているわけではないんですけど、
今回、フェアトレードの絵本や、イベントの企画を考えるにあたって、
ああ、まずは、そこが出発点なのかなって思ったんですね。

さっきのバングラデシュの話もそうですけど。

子どもたちが、ふだん、使っているもの、
食べているものが、どこからきているのか。
なにでつくられているのか。
…っていうことを、まず、疑問に思ってほしい。

近所のお店で、チョコレートを買いました。
硬貨を何枚か渡して、おつりをもらいました。
こういう日常的な「買い物」っていう行動も、ひとつのトレードでしょう。

世の中の行動って、どれもトレードと言えるかもしれない。
「取引」っていうと、ちょっと、好ましくない表現にも思えるけど、
やっぱり何かを受け取るときは、
なにかを引き渡していると思うし。
突き詰めると、息を吸って、吐くっていう行為も
トレードだと言えると思うんです。

下道:なるほど…。

田中:実際にね。そういう観念的なトレードっていうのは、
国際フェアトレード基準として決められているような、
経済活動としての「フェアトレード」のようなものとは、
ちょっと意味合いが変わってしまうと思うんですけどね。

でも、まあ、こどもたちが「トレードすること」だけを単純に考えれば、
おのずとフェアトレード的なところに結びつくんじゃないかなと思うんですね。

経済的なことや、あるいは環境的な基準や、その背景っていうのは、
「フェア」という言葉を考えていくうちに、
あとから、自然とついてくると思ったんですね。
わざわざ、お仕着せなくとも。

下道:「わかりやすかった」って言ってくれたお子様もいましたし、
考えるきっかけになったコーナーだと思いますよ。

そして私たちも感動的だったのが、
最後のディスカッションコーナーですよ。
「フェアトレードを学校で広めるには」のテーマをもとに、
参加者のみなさんにアイデアをたくさん出していただきましたね。

チームごとにおこなったのですが、みなさん真剣に、
しかも斬新なアイデアを何個も出してくれて…。
子どもたちが前に出て発表してくれたり…感動しました。

田中:ホントにね。子どもたちが、率先して前にでて、
声を出して。うれしかったですね。

下道:菅原さんも感動してましたね。
参加してくださった小学生が、
今回のトークイベントを学級新聞の記事にしてくださったとか。
こどもたちの思い出になったトークイベントとなったのではないでしょうか。

田中:「こどもにつたえる」というテーマが生きたような気がしましたね。

下道:反省点としては…トークイベントの司会かな(笑)。

8月10日、24日の2回とも私が担当したんですけど、
1回目はまだしも、2回目は、
何も見ないで進行したかったのですが…、
さすがに緊張で吹っ飛んでしまって。
菅原さんの名前まで噛むという…。

無理して何も伝えられず終わるより、
ひとつひとつを伝えることを優先しないと!って。
結局、とっさに手元にあった原稿を見ながら進行することになってしまいました。

田中:でも、1回目よりも、2回目のほうが、
肩のちからがほどよく抜けた感じで、
良かったと思いましたよ。横で見てて。

下道:2回目は、お客さんも緊張されている様子だったので、
すごく不安なスタートでした(笑)。
でも最後になるに連れて空気が暖まっていったので良かったです。
実は今回のイベントが司会デビューだったんです。
司会をやる日がくるなんて、思ってもいなかったです(笑)。
司会デビューのゲストが、菅原さんで良かったです。
お客様にも助けられたところもおおいにありますし…。

田中:40日間、振り返ってみると、あれこれ反省点もあります…。
ですが、総合的に見て、参加してくださった皆さんから、
いろんな言葉や、笑顔をいただいたし、
経験もさせてもらいました。
こちらが受け取ったものと、同じくらいの、
なにかを参加した皆さんにお返しできたのかな…と、思いたいですね。

菅原さんも、「次回は…」と、つぎのお話をされていますし、
「こどもにつたえる」というテーマで、
今後も、同じようなイベントは続けていきたいですね。

下道:そうですね。スタッフ全員が触れるという意味で、
次回は、また別のスタッフが担当してみるっていうのもアリかも(笑)。…なんて。

おしまい。

はじめにもどる

もくじ

  1. 1きっかけは『全国キャラバン2013』
  2. 2ひとつの世界観にまとまったイベント
  3. 3地球の裏側を考えるきっかけ

10th anniversary
このページの先頭へ