budoriのたのしごとインタビュー 自分の仕事をなくしていくこと 菅原伸忠×有村正一

システムエンジニアからの転職

有村  でも、はじめはエンジニアのお仕事をされていたと聞いています。

菅原  はい。順を追って説明しますと。
大学を卒業したあと、実は、3年ほどブランクがあって。その後、大学院に進んで国際開発経済学を学んだんですね。

3年ほど間があいていたのは…いわゆるその、「おやま」で修行していたからです。岐阜県の高山にある、久々野という山に、1年半ほど住んでいました。もう、丸坊主で。

有村  「おやま」での修行は、どういった考えからですか?

菅原  自分を鍛えたかったという理由もありますし、神道の宗教観を勉強しておく必要があると思ったからです。もともと、母親がそっちの方に縁があったという部分もありますし、自分もその世界に身を置くことが重要だと感じたんですね。

久々野というところは、厳しい環境なんです。冬はもう氷点下10℃とか、ヘタしたら20℃を下回る、というところです。布団だけでは寒くて寝られないので、寝袋に入ってさらに布団をかぶって。…それでもまだ寝られないようなところでした。そんなところで、早朝の雪かきから一日が始まるんですね。

畑も育てていました。田んぼも、種もみから芽を出して、それを育てて収穫する、というところまで。ごはんも、釜で炊いてましたね。炊飯器なんてものはありませんし。

あとは、近所にある老人ホームのおじいちゃん、おばあちゃんのお世話のお手伝いや、建物の掃除をしたりとか。山で修行をしながら、いろいろなことをやりました。それから帰ってきて、受験の勉強を始めて、大学院を受けたんですよ。

有村  ほお。

菅原  で、大学院での2年間を経て、JICA(国際協力機構)の新卒採用試験を受けたんですけど、最終面接のひとつ手前で落ちてしまいました。

まいったなと。こうなったらまず、民間企業で実務経験を積むしかない。いつか、即戦力と認められるくらいになったら、JICAにリトライしよう、って切り替えまして。そのためには、転職の際に有利になる技術が必要になってくる。

そう考えたとき、国際協力の現場ってプロジェクトの単位で仕事をしている。だったら、プロジェクト単位での仕事の進め方に慣れておいたほうがいい。さらに、マネージメントのノウハウがあったら重宝されるだろう、と。さらに、なにか手に職があれば、それは途上国でも必要とされるだろう、ということを考えて。

有村  もともと、コンピュータとか、システム系はお得意だったんですか?

菅原  とんでもない。これまでパソコンも触ったことがないようなね。たとえば、ハードディスクの「ハ」の字も知らなかったんですね。修士論文を書くまで、大学院の授業でExcelの使い方すらわからなくて「足し算ってどうやるの?」って聞いていたくらいですからね。

そんな僕が、「ITの専門家になろう」って思ったわけですよ。

ですけど、システムエンジニアは、開発の現場であって、ロジックだけで仕事をしているわけじゃないんです。お客さん相手にモノをつくってやっていく、という意志がある。そんなところに魅力を感じました。なんというか、地に足のついた仕事だな、って感じたし、これから途上国でも必要になってくる技術でしょう。

ハードディスクの「ハ」の字も知らなかったんですね。
ハードディスクの「ハ」の字も知らなかったんですね。

有村  すごい。

菅原  はじめは、それこそキーボードの打ち方から勉強しました。とりあえず、何もわからないゼロの状態から会社に入って、4年半、経験を積みました。

金融関係の、特に生命保険を専門とする会社だったんですが、4年目が終わったあたりで上司から「そろそろ、単なる一職員という立場じゃなくて、業務知識をもっと高めて、プロジェクトのリーダーを任せられる人材になっていってもらいたい」と言われまして。

そのとき、「あ、限界が来たな…」と思って。

これ以上続けると、会社の求めるものと、僕のめざすものが、合わなくなる。「このままでは会社に迷惑がかかるな」と。そこで、さあ辞めよう。

そして、新しい職場を探し始めたんです。はじめのころは、収入の面も考慮したうえで、民間の開発コンサルタントに行こうかなと思っていて。NGOやNPOのことは頭になかったんです。 でも、そうやって選択肢を絞っていったら、自分で自分の道を狭めていくことになるな…、と、ふと思って。方向性を変えて探していこうと決めて、最初に見つけたのが、シャプラニールだったんです。

有村  なるほど…。

菅原  考え方の部分、理念や原理・原則として掲げている部分が、そのとき、僕が大事にしていたこととかなり一致したことが大きいです。

…でもね。応募期限を過ぎていたんですよ。

とりあえず、すぐに電話して「スミマセン、応募の締切過ぎていますけど、履歴書送っていいですか?」って言ったら「あ、いいよ」って言う感じでね。

面接をしたところ、フィーリングが合うな、と感じました。シャプラニールも当時、その時点で組織としての課題をもっていて。それに対する、具体的な回答を僕がもってきていた。お互いのニーズが合ったので、「じゃあ、転職しますか?」「はい」っていう感じでしたね。僕がいま、シャプラニールにいるのは、そういう経緯です。

有村  応募期限が切れていたにも関わらず、あきらめずに電話をかけて、そこから採用に辿り着くのは、縁としか言いようがないですね。

菅原  本当に、そうですね。ご縁です。

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